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最高裁判所第二小法廷 昭和32年(し)37号 決定

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

申立人(弁護人)清源敏孝の抗告理由(後記)について。

憲法七六条三項にいう裁判官が良心に従うとは、裁判官が有形、無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで自己の内心の良識と道徳感に従う意味であることは、すでに当裁判所の判例としているところであり(昭和二八年(あ)一七一三号同三二年三月一三日大法廷判決、集一一巻三号九九七頁)本件抗告理由は、憲法の右条項違反をいうが、その実質は原審の訴訟手続に関する法令違反を主張するに帰するものであって、特別抗告適法の理由にならない(なお、証人が正当な理由なく証言を拒んだときに、過料の制裁を科するか否かは裁判所の裁量に属するところであるから、過料の制裁を科さなかった措置に対して刑訴三〇九条一項の異議の申立をすることは許されないと解するを相当とする)。

よって刑訴四三四条、四二六条一項により裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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